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JA

2013-15

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75年後、1部リーグ昇格とスーパースターたちのリーグ

2部Aに復帰したチームの目標はカテゴリー維持でした。当初は迷いもありましたが、2部Bで実績を残したチームを解体せずに新シーズンに挑むという賭けが当たります。チームはレンタルで戦力を補強し、その多くが非常に良いパフォーマンスでこたえました。

シーズンが進めばチームに疲れが出てくるだろうというもっぱらの予測とは裏腹に、効率よく得点するサッカーで絶好調のエイバルは、クラブ創設以来初めて、1部リーグ昇格を本気で夢見るようになります。「エイバル、春には1部昇格」、「エイバル・プリメラン」(※プリメランはバスク語で「Very good」の意味。「1部(プリメラ)」との掛詞)が流行りのスローガンとなり、市内中の窓という窓の外に、エイバルのブルーとエンジカラーの旗が飾られました。

歓喜のクライマックスは2014年5月25日、ホームゲームのアラベス戦の勝利(1-0)とともに訪れました。厳密には、手に汗握る試合終了間際のことでした。ファンの多くは、数分前まで不可能と思われていたことが現実に起きたことを、テレビやラジオで知りました。レクレアティーボ・デ・ウエルバがアウェイのラスパルマス戦で逆転勝ちし、この瞬間、数字の上でエイバルの1部昇格が決まったのです。クラブ創設からまもなく75年が経とうとしていました。市内はお祭り騒ぎとなり、一晩で市内中のカバ(スペイン版シャンパーニュ)が飲みつくされたと言われています。

6月7日、デポルティーボ・ラ・コルーニャがアウェイでジローナに敗れ、エイバルの2部A初優勝が決まりました。チームはウンツァガ広場でこれまでとは比較にならない大観衆の熱烈な祝福を受けます。1年前の2部A昇格時をはるかに上回る規模でした。ウンツァガ広場がファンで埋め尽くされただけでなく、周辺の道路にまで人の波が押し寄せ、選手たちを乗せたオープンバスがなかなか前に進めないほどでした。

この年はチームの成績面での成功に勝るとも劣らない、経営面での成功もありました。「エイバルを応援しよう」と銘打ったマーケティングキャンペーンが奏功し、50ヶ国から少額の寄付を通じて190万ユーロを集め、スポーツ法の規定をクリアし、増資に成功したのです。

2014-15シーズン、エイバルは、予算規模からするとその限界をはるかに超える脅威のパフォーマンスを見せました。サッカー面では結果を出すことができましたが、将来に向けたクラブ経営の強化という経営面でのチャレンジは決して容易ではありません。75年前、戦後間もなく誕生した小さなサッカーチームは、努力とチームワークで正々堂々と戦い、世界有数の強豪がひしめく「スーパースターたちのリーグ」の舞台に立ちました。これこそエイバルが75年の歴史で大事にしてきたバリュー(価値)なのです。

年月の流れとともに選手、役員、サポーターが代替わりし、カテゴリーが変ることがあっても、チームのバリューとエイバルという街のアイデンティティはずっと守られていくことでしょう。「模範的な街、エイバル」、「仕事がアートの街、エイバル」。

AUPA EIBAR!

アウパ、エイバル!